補完・代替医療の選び方
代替医療に関して、信頼性の高い科学的な根拠を探すことは、一般的には容易ではありません。
医学の世界では、1990年代から「「根拠に基づいた医療」(Evidence Based Medicine,EBM)」という手法が注目されています。
EBMでは、新しい治療法やまだ研究が進んでいない治療法については信頼性の高い十分なエビデンス(Evidence,臨床的な科学的根拠)がないため、採用されにくいという欠点があります。
代替医療はその典型ですが、最近は徐々に注目され、エビデンスが蓄積されつつあります。
一方、まだ十分なエビデンスが蓄積されていないという理由で、代替医療をすべて排除することは、現実には困難です。またなかには有効な治療法があるかもしれないため、得策ではないかもしれません。
このような現状で、次善の策として、従来のEBMに用いられるエビデンスのランキングを、補完・代替医療の分野でも適用できるようにさらに細かく分けたものを、小内亨氏が提唱(→「TMS JAPAN/代替医療に関するコラム」参照)しています。
これを一部改変したものを以下の【表1】にまとめました。つまり、この中でエビデンスレベルの高い治療法から選択するのです。
【表1】補完・代替医療のエビデンスレベル(案)
| レベル1 |
メタアナリシス(複数のランダム化比較試験を統合し統計的に研究したもの) |
| レベル2 |
ランダム化比較試験 |
| レベル3 |
ランダム化されていない比較試験またはコホート研究 |
| レベル4 |
症例対照研究 |
| レベル5 |
症例集積または複数の症例報告 |
| レベル6 |
補完・代替医療に関する専門家・医師の意見 |
| レベル7 |
動物実験 |
| レベル8 |
患者の個人的な体験談 |
(レベル1が最も高いエビデンス。各研究内容の解説は「根拠に基づいた医療」を参照。)
健康食品やサプリメントを販売しているサイトの宣伝に使われている根拠の多くは、残念ながら、使用者の個人的な体験談です(薬事法の絡みもあるのかもしれません)。
個人的な体験談はその本人にとっては重視できることかもしれませんが、それを一般化するには注意が必要、というか、一般化できないと言った方がよいでしょう。
「○○が癌に効いた!」といった宣伝文句をよくみかけますが、これもその根拠をたどっていくと体験談だったり、動物実験だったり、よくても複数の症例報告にとどまることは珍しくありません。
病院で「有効な治療法が他にない」といわれている患者さんにとっては、藁にもすがる思いで利用する場合もあるでしょうし、そのことを批判するつもりは全くありません。
問題は提供者側の中に自分たちの利益だけを追求する業者があり、その宣伝文句に、多くの利用者の体験談を利用していることがあることです。
しかし、レベル8の個人的な体験談を全く役に立たないものと言っているのではありません。
個人的な体験談から始まり、動物実験や症例報告、症例対照研究、ランダム化比較試験と徐々に信頼性の高い研究につながることも少なくないからです。
シモン芋に関する研究は多数存在し、その中にはランダム化比較試験が複数存在します。
補完・代替医療の領域で、ランダム化比較試験で有効性が確認されているものは多くはなく、対象を食品に限れば、かなり少ないようです。
その中で、シモン芋は、糖尿病や骨粗鬆症などの多くの人が罹りうる一般的な疾患に有効性が確認され、さらにその他の多くの疾患に有効性が期待されている食品であることから、大いに注目されているのです。
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